熱力学の解答付き演習

基本関係式の候補をふるい分ける

演習 34 · レッスン 7 — 数学的構造:基本関係式

  • 基本関係式
  • 示量性
  • 同次関数
  • 正の温度
  • 状態方程式
  • 可逆断熱過程
  • オイラーの関係式

問題

粒子数 が可変の単純系について、三つの基本関係式が提案されている。 いずれにおいても 、 は定数であり、、、、 を考える:

受け入れ可能な基本関係式は示量的、すなわちその示量変数について一次同次でなければならず、また正の温度を導かなければならない。

  1. 三つの関係式それぞれの示量性を調べ、次にそれらが予言する温度の符号を調べよ。受け入れ可能なものが一つだけであることを示せ。
  2. 受け入れ可能な関係式について、、、 を 、、 の関数として与える三つの状態方程式を導け。これら三つの量が示強的であることを確かめ、次にオイラーの関係式 を確かめよ。
  3. 温度が正であることを確かめよ。これより、 が の増加関数であり、関係式を の形に逆に解けることを導け。 が に近づくとき、温度はどうなるか。
  4. 、、、 だけを含む状態方程式を導け。
  5. を固定して、 線図における可逆断熱曲線の方程式を求めよ。

ヒント

ヒント
示量性については、 または を または で置き換え、 得られる のべきを調べる。エネルギー表示では 、、 である。可逆断熱過程はエントロピー一定の過程である。

詳しい解答

解答
問1。 すべての示量変数に を掛ける。 関係式 (1) については

これは一次ではなく 次の同次式である。系の大きさを2倍にすると、エントロピーは 倍になってしまう。示量的でないので、棄却しなければならない。

関係式 (2) については

これは確かに示量的である。しかし についての導関数は

であり、負の温度を与えてしまう。これも棄却しなければならない。

関係式 (3) については

これは示量的である。その温度が正であることは問3で確かめる。これが唯一の受け入れ可能な関係式である。

問2。 を、他の二変数を固定して各変数で微分する:

、、 に を掛ける。 の分子には因子 がつき、分母にもつくので、 は変わらない。 については 、 については となる。 したがって三つの量はいずれも示強的である。

と比べると

であることがわかる。よって となり、オイラーの関係式が確かめられる。

問3。 、、、 なので、 であり、等号は のときに限る。 では導関数 は厳密に正である。すなわち、 と を固定したとき、 は の狭義増加関数である。したがって逆に解くことができる。 乗すると

が に近づくと、 も に近づく。のちに出会う熱力学第三法則が要求するとおり、エントロピーは温度ゼロで消える。

問4。 と の式から を消去する必要がある。 の式から

であるから、 に代入すると

根号を消すために3乗すると

これは、この系にとって理想気体の方程式 に相当するものである。

問5。 可逆断熱曲線に沿ってエントロピーは一定であり、 も固定されている。したがって

において、因子 は一定である。よって

線図において、可逆断熱曲線は の曲線であり、 単原子理想気体の断熱曲線 より急である。