熱力学の解答付き演習

モデルとなる基本関係式:状態方程式、オイラーの関係式、ギブズ–デュエムの関係式

演習 37 · レッスン 7 — 数学的構造:基本関係式

  • 基本関係式
  • エントロピー表示
  • エネルギー表示
  • 状態方程式
  • 示量性
  • オイラーの関係式
  • ギブズ-デュエムの関係式
  • 化学ポテンシャル

問題

粒子数 が可変の単純系で、エントロピー表示の基本関係式が

であるものを考える。ここで は定数であり、、、 とする。 この教育用のモデルは実在の物質を記述するものではないが、すべてを計算できる例の上で、 レッスンで確立した一般的な性質を確かめることができる。微分形の基本関係式

を思い出そう。

  1. この関係式が示量的であること、すなわち が の一次同次関数であることを示せ。 が の増加関数であることを確かめ、温度の符号を導け。
  2. エントロピー表示で、三つの状態方程式 、、 を 、、 の関数として計算せよ。
  3. 基本関係式を逆に解いて を求めよ。次に、エネルギー表示で 、、 を 、、 の関数として計算し、問2の結果が再び得られることを確かめよ。
  4. オイラーの関係式 を確かめ、次にそのエントロピー表示での形 を確かめよ。
  5. 、 とおく。、、 を と で表し、 を示せ。 と を消去して、 を と だけで表せ。
  6. この結果について、ギブズ–デュエムの関係式 を確かめよ。この関係式は、示強変数 、、 について何を意味するか。

ヒント

ヒント
関係式を逆に解くには、 を2乗する。エネルギー表示では 、 、 である。 問6では、ギブズ–デュエムの関係式は と同値である。

詳しい解答

解答
問1。 三つの変数に を掛ける:

したがって は一次同次であり、関係式は示量的である。 と を固定すると、 は の狭義増加関数 に比例する。よってその導関数 は正であり、 となる。

問2。 を、他の二変数を固定して各変数で微分する:

したがって、このモデルの化学ポテンシャルは負である。

問3。 関係式を2乗すると となるので、

偏導関数は

温度について問2との一致を確かめる。 より なので、

となり、これは確かに の逆数である。圧力については、 に を掛ける:

同様に

二つの表示は確かに同じ状態方程式を与える。

問4。 問3と を用いて各項を計算する:

よって

となり、これはオイラーの関係式である。エントロピー表示では

ところで なので である。オイラーの関係式は両方の表示で確かめられた。 この結果は偶然ではない。 が一次同次であることから、オイラーの定理によって導かれるのである。

問5。 問3の式に 、 を代入する。 なので、

示量性が要求するとおり、示強量は粒子一個あたりの量 と だけに依存する。 と を比較すると

次に と を消去する。 の式から である。これを に代入すると

さらに

最後に

問6。 ギブズ–デュエムの関係式を で割ると、 と書ける。したがって、この関係式は

を要求する。 を微分する。 を固定すると

を固定すると、 の導関数は なので

二つの等式はいずれも成り立つ。ギブズ–デュエムの関係式は、三つの示強変数 、、 が独立でないことを意味する。 単一成分の均一な相では、 は と によって完全に決まる。示強的な自由度は二つしかない。